原文

幕雲掩日日将傾
南海臥龍翔帝京
一夜狂風雖折幹
維新大業頼君成

龍馬といえばこの写真(パブリックドメイン)

読み下し

幕雲日を掩うて日将に傾かんとす
南海の臥龍帝京に翔る
一夜狂風幹を折ると雖も
維新の大業君に頼って成る

読み

バクウン ヒを オオうて ヒ マサに カタムかんとす
ナンカイの ガリョウ テイキョウに カケる
イチヤ キョウフウ ミキを オると イエドも
イシンの タイギョウ キミに ヨって ナる

意味

 徳川幕府の黒雲が、わが日本をおおい、国運の傾こうとするとき
 南海土佐の今孔明と称される龍馬は、大志をいだいて立ち上がり、大政奉還によって新しい時代を招来せんとして京都を駆け巡った。
 だが、無念。一夜狂った風が、この大樹の幹を折ってしまった。坂本龍馬が凶刃に倒れたのだ。
 だが、大政奉還は実現し、維新は成った。その大業は龍馬あってこその成功だったのである。

作者

 河野天籟(1868~1948)教育者。名は道雄。天籟は号。明治元年、熊本県玉名郡長州町の生まれ。熊本師範卒。同県内の教師を勤めたあと、県内の阿蘇郡中道小学校・球磨郡多良木小学校などの校長を歴任。昭和23年病没。師範学校時代に詩を学び、漢詩にも造詣が深く、多くの作品を残している。
                      (『吟剣詩舞道漢詩集律詩・古詩編』)

千夜詩話 第7夜  資本主義経済の先駆け、維新後の世界でこそ光る人だった